古赤絵食籠
伝・蜂須賀家 猪熊家蔵品
-希望販売価格-
金80万円
応相談
※販売価格は基本・内税
販売中
【時代推定】:明時代
16~17世紀
寸法
総高:13.0㎝
径:14.8㎝
蓋高: 5.7㎝
身高: 7.8㎝
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華やかさの中にも落ち着いた風情が漂う、明時代の古赤絵食籠です。
「赤絵」とは、宋代に始まり明代に景徳鎮に於いて特に発達した中国の陶磁器の一種で、中国では五彩といいます。
本焼きされた白磁の釉の上にガラス質の上絵具(赤、緑、黄、紫、青、藍など)で文様を施し低い温度(700〜850℃程度)で焼き付けた「色絵」陶磁器の一種で、赤を主調とし、緑・紫・青などで着彩した色絵陶磁器を日本では古くから「赤絵」と呼んでいます。
[古赤絵][万暦赤絵][天啓赤絵][呉須赤絵]などが日本の茶人たちに愛好され、日本の赤絵の発展に大きな影響を与えました。
本器は時代を重ねて生まれたしっとりとした肌合いで、柔らかな丸みを帯びふくよかでゆったりとしながらも華やかな色調のなかに落ち着いた雰囲気を漂わせ、時代色ある覆輪が全体の印象を引き締めています。
たっぷりと厚めに施された温もりのある乳白色の白磁釉を下地に「色絵」が施され、華やかな「赤」が器表を覆っていますが、余白の「白」と差し色の「緑」が全体の印象に落ち着きを与えています。
手描き感あふれる色絵模様や、轆轤を用いて描かれた赤絵文様の一部が流れたように崩れている部分などには、手作業ならではの温かさや味わいがあります。
本器に用いられた白磁釉は微細な気泡をたっぷりと含み白濁することで「白」を呈し、器表の様子は全体的に滑らかながら所々釉切れや歪みやゴツゴツとした感じを受ける部分もあるなど表情が豊かです。
本器の白磁釉は、色絵陶磁器の下地としての性質が他の色絵陶磁器とは少々異なっていることが窺われます。
高台内の厚く歪な釉溜りの様子から、この白磁釉は他の色絵陶磁器に比して熔け易く、熔けた際の表面張力も強かったものとみられます。
そのためか、本器の白磁釉は他の色絵陶磁器に比してかなり厚手に施されているようで、彼方此方に散見するピンホールから拡がったと思しき釉切れは、この性質によるものと考えられます。
このような文様の崩れや歪み、釉表の様相などが「侘び寂び」を喚起させるのか、本器からそこはかとなく漂う「和」の風情が日本人の心を惹き付ける魅力となったのでしょう。
本器の状態は覆輪の縁から口唇の欠けなどが垣間見えるなど非常に年季が入っており、 これを保全するため丁寧にしっかりとした覆輪を施していることから、幾代もの間大切に用いられ、更に後世に伝え続けようとした意思が感じられます。
時代を超えて幾人もの数寄者の手に引き継がれ、愛されてきた「逸品」と言えるでしょう。
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