はくぎょく・こちん

白玉・虎鎮

-希望販売価格-

金30万円

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※販売価格は基本・内税

販売中

【商品番号】:C-222
【時代推定】:前漢時代・紀元前2~前1世紀
[桐箱あり]

寸法

 高:5.2cm

短径:5.4cm

長径:6.6cm


 掌上に乗る愛らしく好ましい小型の白玉器です。
 本器は、その大きさと胴を丸めて横たわる虎を象った形から、[虎鎮]であると判断されます。

 [鎮]は敷物の四隅を押さえるのに使用される〔重し〕です。
 虎を象ったものが[虎鎮]で、多くは胴を丸めて横たわる虎が象られています。
 虎のほかにも、牛や豹など、力強い動物を象ってつくられることもあります。
 『荘子』内篇・応帝王第七に「虎や豹の美しい皮の紋様が狩りを招く原因になる」と書かれており、古くから人間は虎皮を手に入れるために虎を狩っていたことがわかります。
 また後漢の班超の言葉に「虎穴に入らずんば虎子を得ず」というものがあるように、虎は強さや勇敢さの象徴ともされました。
 このような背景から、虎を象り、軍事力の証である[虎符]や〔重し〕としての[虎鎮]が作られたとされています。

 [虎鎮]の多くは青銅製ですが、本器は白玉製です。

 中国では古来より、「玉」を珍重してきました。
 中国の玉文化は[紅山文化](~紀元前4700~紀元前2900~)[良渚文化](~紀元前3500~紀元前2200~)[龍山文化](~紀元前3000~紀元前2000~)期に遡り、「玉」は新石器時代~青銅器時代において貴重品であったとされています。
 「独特の美しい質感」「硬度が低く加工が容易」「割れにくい」という特徴や、邪気を防ぐ辟邪の効果があると信じられていたことも、「玉」が古くから実用品や装飾等の材料として用いられ珍重された理由であると考えられています。
 「玉」には、半透明、白、深緑、青、黒、黄、橙、赤橙、ピンクといった様々な発色のものがあり、その発色や模様の現われ方によって、白玉、青玉、黄玉、紅玉、青白玉、碧玉、墨玉等と分類されています。
 中でも白玉が最も高級とされ、あたかも脂身のような白~乳白色の「玉」は「羊脂玉」(マトン・ファット・ジェード、やんしーゆー)、白く透明感のある最上質のものは「羊脂白玉」(やんしーばいゆー)と呼ばれて、中国では硬玉よりも価値が高いとされています。
 本器は表面の風化が進んでおり艶が失われていますが、往時は艶やかに磨かれていたのではないかと思われます。

 本器の虎には、現存する虎に比べ胴が長く、虎縞が黒の縁取りで施されている、といった特徴がみられます。
 これらの特徴は、(中国大陸で描かれたものではないが)高松塚古墳・キトラ古墳等の古代の壁画に描かれている中国の神話上の霊獣である四神の白虎図の特徴と合致していることから、本器は単に白色の虎というだけでなく霊獣〔白虎〕ではないかと思われます。

 玉製の〔白虎〕といえば、前漢時代に編纂されたと見做されている儒家の儀礼書・三礼(さんらい)の一つ・『周礼(しゅらい)』中の「玉をもって六器を作り、もって天地四方を礼す。蒼璧をもって天を礼し、黄琮をもって地を礼し、青圭をもって東方、赤璋をもって南方、白琥をもって西方、玄璜をもって北方を礼す。」との一節内にある【白琥】が連想されます。

 [六器]とは6種類の儀礼用の玉器で、玉璧(蒼璧)・玉琮(黄琮)・玉圭(青圭)・玉琥(白琥)・玉璋(赤璋)・玉璜(玄璜)を指します。
 これらは古代中国の自然哲学の思想である『五行思想』(または『五行説』)の【五行】に対応し、玉圭(青圭)・玉琥(白琥)・玉璋(赤璋)・玉璜(玄璜)の4種は、中国の神話で天の四方の方角を司る霊獣である四神(しじん:東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武)に相当しています。
 中国の〔古玉器〕に関する数多の参考図書には、〈漢〉以前の〈夏〉〈殷〉〈周〉代の[六器]に相応する古玉器が掲載されています。
 また、近年来中国大陸で盛んに施行されている古代遺跡の科学的発掘調査によって、〈夏〉時代以前の[良渚文化][紅山文化]に於いて[六器]に類する玉器が作られていたことが判ってきました。
 これらは、『周礼』が編纂された前漢時代以前から[六器]が存在していることの証左であるといえ、前述の『周礼』の一節は、前漢時代から見た古代の[六器]を《霊玉》として尊重していた、という往時の認識を伝えていると考えられます。

 漢代では[六器]だけではなく、往古の玉器に倣う様々な玉器を盛んに製作するようになりました。
 本器は[六器]には当てはまりませんが、『鎮』という文字の意味を「重し」ではなく「(神霊を)鎮める」と捉えると、[虎鎮]には[霊器]や[護符]としての意味合いもあるように思われてきます。
 この【白玉・虎鎮】は、[六器]のような儀礼的要素の強い物とはいえないまでも、『周礼』の一節にある「白琥をもって西方を礼す」という[霊器]としての役割を担い、身の周りに置く[護符]の如き存在として珍重・愛好されていたのではなかろうか、というように感じられます。


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