あんなんそめつけしろぬききくからくさもんごうす

安南染付白抜菊唐草文合子

-希望販売価格-

金2万円

※販売価格は基本・内税

販売中

【商品番号】:Z-026
【時代推定】:安南(ベトナム)15世紀~17世紀
[桐箱あり]

寸法

総高:7.0cm

 径:9.0cm


 白抜きの菊花紋が施された安南染付の合子です。
 本器は、昭和15年(1940年)にジャワから日本に持ち帰ったものと聞き及んでいます。

 安南(ベトナム)焼が染付磁器の生産をはじめたのは、それ以前に景徳鎮や龍泉窯の青磁や鉄絵を模倣し生産していたという経緯や、元の染付磁器の盛行が14世紀中頃であること、「黎朝」や「莫年」の年紀をもつ染付磁器が存在することなどから、14世紀後半頃と考えられています。
 当初の安南染付は、元様式の器形に主文様として龍や鳳凰を、その周辺に宝相華唐草、蔓唐草や蓮弁文などの従文様を配するといった元様式を規範とする元様式直模(ちょくも)の様式でしたが、その後、明初の器形に元様式の文様を施すなどの変化を見せ、15世紀に入ると、生き生きとした躍動感に満ちた筆致が用いられ、主文様に鹿・水牛・鯰といった独自の文様が描かれるようになり、濃淡で表現された文様が小気味よい調子で描かれるようになるなど、時代を追うごとに作風に安南(ベトナム)の独自性があらわれるようになっていきました。

  本器は、棗(ナツメ)型香合をやや背を低くし全体に丸みを帯びさせたような安南焼の合子によく見られる器形で、胎土は鉄粒が多く含まれたやや粗目の半磁器質です。
 安南染付に用いられた素地は、当初はそれまでに焼成されていた青磁や鉄絵とほぼ同じ半磁器質で、その後、より磁器質な素地となっていきます。
 安南(ベトナム)では良質なカオリンが産出しなかったため、安南染付に用いた器殆は全体に白化粧を施した上に透明釉が掛けられており、元・明染付に比べ柔らかい印象となっています。

 本器の染付文様の地色は、外面の白地はかなり明るい白色に、高台裏の白地は灰青色にみえます。
 これは染付文様の青い発色との対比によって白地部分がより白く見える現象で、実際は白地部分は同色です。
 本器の染付文様は白と青とがバランスよく配されており、背景の呉須に濃淡が見られることで、奥行き感と清爽感が感じられます。

 一般に安南焼染付に用いられた釉薬は灰分が非常に多いため、熔け易くまた流れ易く失透する性質があります。
 そのため、窯の温度が不足した時は失透し、高過ぎた時は上釉が流れるのに伴い釉下の呉須の文様も流れてぼやけ絞手となります。
 本器の釉表は艶やかで透明感があり、安南染付によく見られるような呉須の滲み等が見られないことから、好条件下で焼成されたことがわかります。

 大胆な筆致で描かれた菊唐草文は元染付に見られる白抜き技法が用いられており、元染付の文様との類似が見られますが、文様の細部はかなり変容しています。
 菊花は丸菊文(丸形・円形)ではなく菊菱文(菱形)がモチーフと思われ、その細部は精緻ではありませんが、文様の描かれ方は風に揺られる様子としてみると、凛として咲き誇る菊の力強さの表現と捉えることも出来ます。

 古来より菊の花は、観賞用・薬用・食用と様々な用途に使われ、中国では延命長寿の花として知られています。
 後漢から三国の頃に成立した中国の本草書《神農本草経》では365種の薬物を、上品・中品・下品という「無毒で長期服用が可能な養命薬」「毒にもなり得る養性薬」「毒が強く長期服用が不可能な治病薬」の三種に分類して記述しています。
 「菊花」は薬用として《神農本草経》の上品に収載され、「味は苦平。風による頭眩や腫痛、目が脱けるように涙出するもの、死肌、悪風、湿痺を治し、久服すれば血気を利し、身を軽くし、老に耐え、年を延す。一名節華」と記載されています。
 器内外の貫入や釉表の細かな気泡に土中していたことを示す土錆らしき浸み付きが見られるにもかかわらず釉表が艶やかさを保っているという一見不可思議な事象は、合子ごと内要物を包み守るように描かれた延命長寿の花とされる菊の文様が、土中していた本器の艶やかさを保ち続けていたからであるようにも思えてきます。

 歳月を経ても瑞々しさを失わない、凛とした気風を感じる一品です。


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