おりべしほういりすみともぶたさんぞくはち

織部四方入隅共蓋三足鉢

-希望販売価格-

金38万円

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※販売価格は基本・内税

販売中

【商品番号】:N-141
【時代推定】:江戸時代後期
[桐箱あり]

寸法

総高  : 9.7cm

蓋・縦 :17.8cm

蓋・横 :18.1cm

蓋・高 : 3.4cm

身・縦 :16.8cm

身・横 :17.3cm

身・高 : 6.9cm

身・深さ: 5.3cm


 瑞々しい清爽さと時代が醸し出す心地よい温かみを湛えた、大振りな蓋付の〔織部焼〕向付です。

 〔織部焼〕(おりべやき)は、〔志野焼〕の後に造られた〔美濃焼〕の一種です。
 千利休の弟子であった大名茶人・古田織部(1543年~1615年)の指導で創始され、往時の茶人たちに〔織部好み〕と呼ばれ親しまれました。
 〔織部好み〕の陶器は当時の茶人の好みに従って様々な創意工夫が凝らされ、鉢や向付に見られる幾何学的な器形や、沓茶碗のように歪の美を重視した大胆な器形、異なる種類の釉薬を用いた掛け分けや、意図的に素地を露出させ景色とする斬新な意匠、身の回りのものを題材とした抽象度の高い絵柄などの〔織部焼〕の特徴が形成されました。
 桃山時代の慶長10年(1605年)頃から元和年間(1615年~1624年)まで主に美濃地方で生産された〔織部好み〕の陶器は〔桃山織部〕と呼ばれ、後世の物とは区別されています。
 〔桃山織部〕は、江戸初期には大流行しましたが、江戸時代前期の内に生産は下火となり衰退しました。
 江戸時代後期頃の「町人文化が花開いた」といわれる《文化・文政期》‐いわゆる《化政期(1804~1829)》‐に入ると、古陶磁の名陶が富裕層の注目を集めるようになり、〔織部焼〕〔九谷焼〕等の復古ブームが起こり、その需要に応じるため尾張瀬戸の陶工たちによって〔織部焼〕は再生産されるようになりました。

 本器に用いられた胎土や顔料の質、施された文様の様相などから判断して、本器が焼造された時期は[桃山時代の美濃焼]を高く評価するようになった江戸時代後期であると考えられ、おそらく料亭等で用いられていた「揃い・組」の内の一つであろうと推測されます。

 ほぼ正方形の角を〔入隅〕とし、四角形の堅苦しさをやわらげ、柔らかでゆったりとした印象を鉢全体に演出しています。

 蓋・身ともに焼歪みが見られますが、蓋と身との噛み合わせは非常に良好でほぼずれることなく納まっています。
 このことから、蓋と身とを噛み合わせた状態で焼成されたものと考えられます。

 底面は縁に「段差」を設けています。
 本器の内面は側壁と底面とを直角ではなく斜めの面を介して滑らかに繋げた造形となっているため、底面角部分を直角にした場合には胎厚が他の部分の器壁よりも厚くなり、焼成中に胎厚の差で起こりうる〔焼歪み〕や〔焼き割れ〕が生じやすくなります。
 これを防止する目的で底面の縁を削り取って厚みを整えたものと考えられますが、それ以外に、鉢を持ち上げる際に底部に指を差し入れやすくする機能的配慮だけでなく、角を取ることで堅苦しさや重量感を緩和する意匠にもなっています。

 織部釉や文様は、取っ手を中心とした四分割の区画に配置されています。
 取っ手から注がれたかのように掛け流され、ほぼ三角形に施された織部釉は、緑が茂る奥深い山々や、そこから湧き出でる豊かな水の流れを連想させられます。
 織部釉の絶妙な掛け分けによって、志野釉(長石釉)部分に描かれた鉄絵の文様が溢れ出る緑の向こうから顔を覗かせているかのような演出がなされています。
 緑色の織部釉中には水色や濃い青色が、その周辺の志野釉(長石釉)中には釉裏紅の様な紅色が現われています。
 これらの発色は織部釉に用いられた銅成分の発色です。

 本器に施された文様の一つ一つは〔美濃焼〕によくみられる文様を踏襲しており、山林や湧水、里山といった日本の風土に見られる風物と、そこに調和した人の営みが器全面に表わされているように感じられます。

 本器が見せる景色は日本人の自然観の顕れであり、身の回りの物が豊かな自然から得られたものであることを緩やかに示唆しつつ、自然の中でその恩恵を受けていることへの報恩感謝が本器の意匠に込められているようです。


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