漢緑釉銀化壺
上方の〔引っ付き〕表面は白く風化しています。
下方の赤黒い発色は、胎土に含まれていた鉄分の発色と思われます。
付着した土錆の色味は単調ではなく、鉄錆のように多様な発色が見られます。
銀化膜の厚みの違いによって、銀化の発色が異なることがわかります。
銀化部分に見られる剥落は、貫入に添っていることがわかります。
画像左側では、銀化膜が剥落し、緑釉地が露出しています。
土錆部分にも、銀化部分と同様に貫入が入っています。
土錆が剥落した部分では、銀化膜も同時に剥落していることがわかります。
土錆の周囲に銀化膜が見られることから、土錆は銀化膜と一体化していることが窺われます。
濃淡のある緑釉地と青白い銀化の発色や土錆の枯れた色味が、独特なハーモニーを醸し出しています。
自然が生み出した味わいあるテクスチャーと捉えて愛でるのも、『歳月』を楽しむ『古美術』観賞の醍醐味のひとつです。
(※ロールオーバーで銀化剥落部分の拡大図を表示)
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