漢緑釉銀化壺
本器には、画像中央に見られる小さな焼きヒビ以外には〈割れ〉や〈共直し〉のような部分は一切見られません。
銀化面のあちこちで、オパールのような青味を帯びた虹色の反射が生じています。
画像下中央付近の緑色の暗い部分はカメラが照明を遮ってできた影で、光が当たっていない部分では緑釉地の色味が透けて見えることがわかります。
画像ヒビの右側に、緑釉地が細かく露出している部分が見られます。
この部分には網の目のような銀化状態が見られることから、人為的に引っ掻くなどしたのではなく、発掘後に付着していた土埃を落す際、緑釉地から浮き上がり剥がれかけていた銀化膜が剥落したものと思われます。
その右上には焼成前に生じた箆傷らしき部分があり、周囲の盛り上がった部分が光を強く反射して白銀色に輝いています。
(※ロールオーバーで網の目のような銀化状態部分の拡大図を表示)
細かい貫入が縦横に入っている周囲の銀化部分では、白銀色や真珠貝の殻の内側のような虹色の発色が見られます。
部分ごとの発色の違いは、銀化膜の厚みや光の入射角度によるものです。
銀化膜の剥落は、貫入に添っていることがわかります。
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