鼈甲製瑞鳥牡丹文透彫飾り櫛
文様部分に施されている透かし彫りは、細部に亘って緻密かつ丁寧に表現されています。
光を透かすと、鼈甲(べっこう)の模様が赤味を帯びて浮き上がってきます。(ロールオーバーで光を透かした状態を表示します)
櫛歯の根元部分上部中央に見られる菱菊文の周囲には彫金細工にみられるような魚々子文様が施されていることから、櫛部に文様部を固定する飾り金具を表現していることがわかります。
透かし彫り部分には、つがいの瑞鳥のほか、牡丹や四弁五弁の花、蕾や実等々の瑞花文が唐草文様の中に多数散りばめられています。
瑞鳥の羽毛や花々の花弁、葉脈、唐草の茎、魚々子文様等々、細部まで丁寧な表現が施されています。
多種多様な文様を盛り込むと全体の構図が煩雑になりがちですが、文様部の外周近くに施された2本の唐草文の茎が生み出す額縁効果と、文様の絶妙な配置とによって調和した構図を生み出しています。
外周近くに施された唐草文は、文様部の強度を担保する構造材の役割も担っています。
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