茄紫釉面取管耳瓶
画像では赤味が強く写されていますが、本器の釉は本器を照らす光の強弱や当て方により、深く沈んだ色味から明るく暖かな色味まで、様々な異なる色味の表情をみせます。
釉表の様子は、仔細に観察すると極めて細かな貫入がみられるものの艶やかで平滑であり、一見しただけでは貫入がないように見えます。
[宝石釉]である[茄紫釉]の発色を美しく見せるため、貫入を生じさせないよう徐冷には細心の注意を払っていたものと考えられます。
釉厚は、稜線部分では薄く灰白色の胎色が覗いていますが、各面ではそれなりに厚みがあります。
面上に釉がほんのりと盛り上がっていることで、平面構成の堅苦しさが和らぎ、柔らかな印象となっています。
高台付近では厚い釉溜りが生じています。
稜線部分や管耳上部は[茄紫釉]の発色は見られず、透明な釉で覆われ灰白色の胎色が覗いています。
稜線部分に灰白色の胎色が覗いていることで、稜線部分が器の輪郭線となり、シルエットがくっきりと引き締まって見えます。
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