きせとあやめもんりんかはち

黄瀬戸菖蒲文輪花鉢

-希望販売価格-

金38万円

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※販売価格は基本・内税

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【商品番号】:N-041
【時代推定】:江戸時代後期・十九世紀
[古箱あり]「文政五年 午 十月調之」との箱書あり

寸法

高: 7.5cm

径:20.7cm


 〔黄瀬戸〕は、〔志野、織部、瀬戸黒〕とともに、室町時代末期~桃山時代に美濃 (岐阜県土岐市とその周辺)一帯で盛んに焼かれた〈美濃焼〉の一種です。
 この時期に焼成され、〔茶の湯〕の席などに使われた〈美濃焼〉の陶器を今日では〔桃山陶〕と呼んでいます。

 本器は、その様相から、江戸後期の〔桃山陶〕復興の時流を受けて誕生した作品であると思われます。
 本器の共箱には「黄瀬戸鉢」との古紙の張り紙があり、箱裏と蓋裏には《化政期》の特徴が見られる書体で記された「文政五年 午(ウマ) 十月調之」との箱書があります。
 この《文政年間》(1818~1830)は十九世紀前半の〈江戸後期〉に相当し、今日ではその前の《文化年間》(1804~1818)と一つに連ねられて《文化・文政期》あるいは《化政期》と呼ばれており、《化政文化》と呼ばれる《町人文化》が花開いた時期と評されています。
 その頃の江戸や京・大坂などの府都や各地の大藩の主だった都市では〔茶の湯〕が盛んであり、それらの席上で、〈古九谷〉や〔桃山陶〕など、桃山から江戸初期に到る由緒ある器が盛んに用いられるようになっていたと伝えられています。
 その『時流』に乗って、かつての名陶を再現すべく、金沢の大聖寺では吉田屋窯が興り、美濃地方では〔桃山陶〕の復元に携わる腕の立つ陶工が数多く誕生しました。

 本器はきわめて薄い作りの深めの鉢で、口唇は輪花状に整えられています。
 高台は低く薄い作りで、釉が総体にかかり、高台内には黒褐色の〔輪トチン〕を思わせる〔焼き支え〕の痕が残っています。
 本器の内側に施された線刻の〔菖蒲(アヤメ)文〕は、花は写実的に、葉は大胆に表現され、伸び伸びとした趣を顕しています。
 白い艾土(もぐさ土)に透明度の高い〔黄瀬戸釉〕が施され、幅広の口縁に様式化した草花文を、器底部に伸び伸びとした趣の〔菖蒲(アヤメ)文〕を線刻で表し、〔鉄斑〕と〔胆礬(タンパン)〕を点じています。

 黄瀬戸の黄色の釉色は、植物灰を用いた釉薬に含有されるわずかな鉄分が酸化焔焼成のために発色で、謂わば鉄釉の発色です。
 中国に倣い青磁を作ろうとしたところ、還元焼成の技術が十分でなかったため渋くあたたかみのある淡黄色に発色したのが〔黄瀬戸〕の始まりであったといわれています。
 本器に施された色彩はごく簡素ですが、輪花型に整形されたやや幅広の縁に刻まれた文様を飾る渋く発色した〔鉄斑〕の発色、花弁部分の〔鉄斑〕の滲み、葉の中ほどに置かれた〔胆礬(タンパン)〕の爽やかな緑彩の発色、器中央付近の釉溜りの発色等々によって文様に立体感や奥行きが与えられ、器全体に豊かな表情と力強い存在感が感じられます。
 【侘び寂び】(わびさび)に則し過度な装飾に走らない、凛としながらも優しさとあたたかみのある日本の「もてなしの心」を映す、〔桃山陶〕を偲ばせる〔黄瀬戸〕の優品といえるでしょう。


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