そうおりべじゅうそくしょくだい

総織部獣足燭台

-希望販売価格-

金150万円

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※販売価格は基本・内税

販売中

【商品番号】:N-027
【時代推定】:桃山時代
[桐箱あり]

寸法

高:14.1cm

径:15.5cm


 室町時代末期-戦国時代-安土桃山時代は、日本の〔やきもの〕にとって画期的な、いわば『〔やきもの〕のルネサンス時代』でした。

 それ以前の日本の〔やきもの〕とは様相をがらりと変え、個性的な造形表現がなされた〔志野・織部〕焼をはじめ、〔伊賀・信楽・唐津・備前〕焼などの〔桃山陶〕が登場し、公家・武将・町衆(豪商)たちの間での〔茶の湯〕の流行と共に〔茶陶〕の需要が急速に高まり、日本の〔やきもの〕はそれまでにない活況を呈するようになりました。

 安土・桃山時代の〔織部焼〕の開始時期についてはまだ研究途上のようですが、通説では〔織部焼〕は桃山期の中頃・慶長(1596~1615)年間から江戸時代初期・寛永(1624~1643)年間頃まで盛んに焼造されていたとされています。

 この「総織部獣足燭台」は、〔桃山陶〕の中でも希少な形式の燭台です。
 この形式の燭台は、利休の孫である千宗旦(1578~1658)が好んで用いたため、〔宗旦好み〕の御道具の内に取り入れられ、今日でも珍重されています。

 燭台の蝋燭立て用の鉢の上端に取り付けられた三個の突起部のうち一つに金箔が貼り付けられ輝いているのが印象的ですが、この金箔部分は、〔後補の金直し〕なのか、或いは繕いのように見せている装飾なのかを判断することはできません。

 茶道具の分野では、国の重要文化財に指定されている「古伊賀耳付袋形水指・銘〔破れ袋〕」のように、本来ならば器の欠点となる〔キズ〕〔割れ〕〔歪み〕〔窯焼け〕などを、発想を転換し、その作品の〔景色〕或いは〔見所〕の一つとして高く評価する場合が往々にあります。
 この発想を推し進めて、『一見単調に見えるキズ一つない茶碗に金蒔絵を施して〔景色〕とする』ことや、時には、「本阿弥光悦が自作の茶碗をわざと壊して金繕いを施した」という逸話のように『一箇所をわざわざ壊した後に華やかな補修を施して〔見所〕に変える』など、敢て〔景色としての繕い〕を加飾することさえあります。

 断定は出来ませんが、窯割れやひびが見られるものの、金箔が貼り付けられた部分以外、繕いの箇所が何処にも一切見たらないこと、金箔と釉面との境界には、接ぎ合わせたような不自然な段差や不連続面が見られないこと、今日まで伝世品として大切に取り扱われて来たと思しき器全体の良好な保存状態、等々を鑑みると、この金箔部分は〔後補の金直し〕ではなく、往時の茶人がこの燭台に接する人々にアッと思わせようと、〔緑〕一色ともいうべき燭台の単調な色合いのなかに目を引く要素として、敢えて無傷の突起の一つを金箔で被い『黄金の輝き』をさしこんだのではないか、とも考えられます。

 燭台の各獣足基部の左右に見られる二重の楕円で表された膨らみによって、獣足基部が力強い【動物の貌】のようにも見えてきます。
 獣足の基部に獣面や鬼面の装飾が施された器が、唐・宋時代に作られていたことから類推して、この燭台の獣足基部の左右に見られる二重に楕円で表された膨らみは、金剛力士像に見られるような力強さの表現と思われます。

 獣足部の露胎を細かく観察すると、滑らかな露胎部分は長年月の使用によって現れる伝世品特有の状態を呈し、用いられている胎土は白く陶質で、桃山時代の〔志野焼〕〔織部焼〕に共通する艾土であることが判ります。

 燭台の全面に施された濃い緑色の〔織部釉〕は、青みが深く、斑状に濃淡が現れ、奥行きがあって、渋く落ち着いた色調を呈し、釉の厚い部分の表面には桃山時代の織部釉の特徴である錆のような斑紋が現れています。

 大地を踏みしめる獣足、それに支えられた蓮弁文が施された下部の受け皿、そこから伸び上がるように蛇腹状に段を重ねた多層構造の支柱、三個の突起部が取り付けられた丸みを帯びた上部の鉢、鉄芯を用いた蝋燭立てと、幾重にも段を積み重ね組み合わせた構成の姿には、建築物のようなどっしりとした重厚感と、天に向かって成長し花開こうとする伸びやかな力強さを感じます。

 桃山時代という、新しい社会を創り出そうとした時代の息吹、新しい時代を切り開く精神力の強さを漲らせる優れた造形性を表していると云えるでしょう。


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